甲子園が大歓声に包まれる。江川投手から必殺の一撃、見事でした。あのときどんな気持ちで打席に立ちましたか?」
「なおちゃんの好投になんとか報いたいと、一発決めてやろうと思って打席に立ちました。」
なんてこと言ったような気がする。なんかまだまだお立ち台なんてとまだ早いと思っていたから、その後何を言ったのかよく覚えていない。
というか、やはりこの試合はなおちゃんが完全試合したってのがものすごいことなので、僕の方のインタビューはいったん切り上げ、
「それでは、なおちゃん投手。ナイスピッチング、見事パーフェクト達成、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「今日は、どこからパーフェクトを意識しましたか。」
「無我夢中で木戸さんのミットめがけて投げてただけで、特に意識はしませんでした。結構危ない当たりもあったのですが、兄貴のファインプレーに救われました。」
その後、何回かやり取りが続き、
「それでは甲子園5万5千人のファンのみなさんにメッセージをお願いします。まずは、あさちゃん選手から」
「これで、ファンのみなさんにも名前を覚えていただいたと思います。これからも応援よろしくお願いします。」
「これがまぐれと言われないよう、次からもがんばります。応援よろしくお願いします。」
「以上、今日のヒーローお二人。あさちゃん選手となおちゃん投手でした。」
このあと、甲子園は六甲颪の大合唱!
これで、僕はスタメンセンターのポジションをつかみ、弟は先発ローテ入り。
5月5日のGWが終わった時点で、僕は打率.310、HR2本、打点9、盗塁5。弟は3勝1敗、防御率1.50。
チームも快進撃で首位に。
でもまだこの頃は優勝なんて意識していなかった。マジで。
それよりも、とにかく1試合でも多く試合に出ていたかった。
そんな中、もっと大きなニュースが舞い込んだ。
(続く)
(注)この話もフィクションです。
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